いつだって自分たちは一緒にいた。
一人で居ても、すぐに駆けつけてくれた。
泣いていると駆けつけてきて慰めてくれた。
いつも
どんな時だって…
自分たちは2人で1つなんだ…
ずっとそう思っていたんだ…
そう…
ずっと
ずっと……
分かれることなんてないんだ
そう思っていた。
絆〜destiny〜
道はひとつとは限らない
いくつものルートはある
だが…その行き着く先は…
光か
はたまた
闇か………
nのフィールド
重く冷たい空気が張り込んだ世界。
ここはnのフィールド……
「…くっ……」
「ひゃ〜」
幾度と繰り出される薔薇水晶の攻撃に真紅と雛苺は必死に回避をしていた。
だが、逃げても逃げても攻撃は収まることはなく
逆に攻撃は増す方だった。
「…怖いの〜」
「雛苺あなたは後ろに隠れてなさい」
攻撃をよけながら真紅は雛苺に告げた。
「ふみゅ〜」
だが薔薇水晶による攻撃でなかなか、体制を保てないため雛苺真紅に近づくことができないでいた。
「くっ…」
薔薇水晶の攻撃に真紅はたじろいだ。
一瞬真紅の視界に通り過ぎる影があった。
「あれは…翠星石…」
「蒼星石も一緒だったの〜」
「………あの子達」
なおも薔薇水晶の攻撃は衰えない。
・ ・ ・
狭い路地を2つの影が走っていた。
「…………」
翠星石は、ひたすら逃げるように走っていた。
蒼星石は翠星石に手を惹かれる形で。
「…………」
翠星石は路地を曲がるとようやく止まった。
そして何かから隠れるように……
「まいたですか…」
ほっと一息…
「………」
蒼星石はというとさっきから黙ったままだった。
「さぁ蒼星石帰るですぅ」
「………」
翠星石の問いにも蒼星石はまったく答えなかった。
「蒼星せき……」
「蒼星石何かいうで……」
いきなり後から大量の羽が襲い掛かってきた。
即座に気付き何とかよけることはできた。
「………」
「…ふふふっ…み〜つけた〜」
「水銀燈……」
「もう鬼ごっこはおしまいかしら」
水銀灯は不敵な笑みで2人を見渡した。
……………
翠星石は黙ったまま水銀燈を直視した。
蒼星石はずっと黙ったままだ。
「逃げてばっかりじゃつまんな〜い」
「………」
「……水銀燈…もうやめるです、今回は翠星石たちの負けでいいです…だからもうやめるです…」
翠星石は必死になって答えた。
「うふふっ…あなたはそうでも、妹さんはそうは思っていないみたいよ」
「えっ…蒼星石…」
蒼星石の手には庭師のはさみが持たれていた。
「蒼星石……やめるです、もう戦わなくていいです」
「……」
だが翠星石の言葉は蒼星石を止めるまでにはいたらなかった。
蒼星石の瞳は水銀燈を捕らえていた。
「蒼………やめるです…」
「……翠星石…ボクはアリスになると決めた…だからボクは戦う」
「…そ…」
「君が止めるというのなら、ボクは君を切捨てでも…」
蒼星石は水銀燈に歩み寄った。
「…ま…まつです…翠星石は…」
「翠星石は…戦いなんて望まないです…蒼星石と一緒に居られるだけで十分です…」
翠星石は必死に蒼星石に告げた。
だが…蒼星石の気持ちは変わらなかった。
だが……
蒼星石は翠星石を突き放した。
「…蒼星石……」
「…ボクはお父様のためにアリスになる…!!」
そういうと蒼星石は水銀燈に向かっていった。
「…蒼星石!!」
「ふふっ…」
「はっ!!」
空中で水銀燈と蒼星石力がぶつかり合った。
「ボクは…ボクはアリスになる!!」
「ふふっ…」
水銀燈は難なく蒼星石の攻撃をかわした。
蒼星石は休みなく水銀燈にはさみを振り替えした。
「ボクは…ボクは!!」
…………
蒼星石の攻撃は水銀燈にあたることなく…
「うふふっ……終わりよ…」
水銀燈の放った攻撃は蒼星石に直撃した。
「あぁぁぁぁぁーーー!!」
「蒼星石!!」
力をなくした蒼星石の体はそのまま地面に落下していった。
「蒼星石…」
翠星石は蒼星石に駆け寄り、抱き起こした。
「蒼星石…蒼星石……」
「…うっ……」
かなりのダメージを受けたのか…息をするのも苦しそうだった。
「しっかりするです蒼星石…」
翠星石は蒼星石の手を自分の手で握り締めた。
翠星石の瞳には涙があふれていた。
「……っ…すい…星石…」
「蒼星石……」
「………翠星石…ボクは…」
苦しそうに息をしながら、蒼星石は言葉をはした。
「……ボクは…アリスになりたかった……それは…お父様のためであって
……それだけじゃなかった…」
「どういうことです…」
「…ボクが…アリスに…なりたかったのは……完璧なドールになって……そして…
君とずっと…一緒に……居たかった……のかもしれない…」
しゃべるたびに苦しそうな顔をする蒼星石…
「本当は……ボクは………君と一緒に居たかった……」
「そう…星石…」
翠星石の瞳から涙が溢れ出している。
「……ボクは……君のことが…一番だいっ嫌いだったけど…一番大好きだったよ……」
そういうと蒼星石は軽く微笑んだ。
ふっと蒼星石の手の力が消えた…
「そう…」
瞬間蒼星石の手は翠星石の手をすり抜けて、地面に落ちた…
「蒼星石……う…嘘です…目を開けるです……蒼星石…目を開けるです……
うそだって言ってほしいです………起きるです…嘘です……こんなの……」
「う…うわぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!」
何とか薔薇水晶の攻撃を避けてここまで来た真紅、翠星石野本へ駆け寄ってきたが。
目の前の光景を見て……
「翠星石…」
遅れて雛苺も翠星石の下へ駆け寄った。
「蒼星石……」
「うっ…蒼星石…蒼星石……」
「うふふっ……蒼星石壊れちゃった〜」
「水銀燈あなた」
真紅は水銀灯をにらみつけた。
「うふふっ〜や〜ね真紅怖い顔して〜」
「………」
「許さないわ…」
真紅は愛用のステッキを取り出した。
「うふふっ〜もうここには用はないわ〜」
「待ちなさい水銀燈」
「ま〜たない」
そういい残すと水銀燈は暗闇に消えていった。
「水銀燈……」
「蒼星石かわいそう」
「うっ…」
「……翠星石…」
「蒼星石…蒼…星石……」
願い事は叶いますか?
私の願い事は叶いますか?
お星様に祈れば叶いますか?
…………
ボクのかなえたいこと…
一番かなえたいこと
願えば叶いますか?
叶わないことなどない……
願えばきっと叶いますか?
どんなに難しい願いでも
どんなに困難な願いでも
叶いますか?
だったら…ボクの願いたいことは…
「君といつまでも…ずっと……一緒に居たいです。」
願いは叶いますか?
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