隣には…あんたが笑っている
とっても幸せそうだ…
だけど、いくらてを伸ばしても
届かない…届くことはない
あんたは俺から離れていく…
それは……自分にはどうにもできないことだ…
---『失い』---
目を覚ますと白い天井が見える…
どのくらい眠っていたのだろう…
窓の外は真っ暗になっていた。
起き上がろうとした。
《頭が…くらくらする…》
思い通りに体が動かない…
《それにここはどこだ…オレは何でここにいるんだ…》
エドは手探りで辺りを確認した。
どうやらベットの上のようだがここがどこの部屋かが分からなかった。
回り全体壁が白い。
頭が痛むけれども、エドは必死に記憶をたどろうとした。
《オレ…大佐に書類を渡して…それで帰ろうとして…》
《だめだ…その後の記憶がない…》
考えれば考えるほど頭痛がひどい。
エドはベットに突っ伏した。
《頭…いて…》
痛みは増すばかりだった。
突然暗かった部屋の明かりがいっぺんに明るくなった。
それと同時に誰かが部屋に入ってきたみたいだった。
「…だ……誰だよ…」
激しい痛みと熱のせいでエドは相手が誰なのか気配が読めなかった。
「もう起きれるみたいだね。」
「大佐……?」
「私以外に誰がいるのだね。」
ロイは手に水の入ったコップを持っていた。
「まぁ…このくらいにしておこう、また倒れられては困るからね。」
「…倒れた…誰が?」
エドはいったい何を言っているのか分かっていないようだった。
そんなエドを見ていたロイも少し驚いていた。
「覚えていないのかね…まぁ、無理もないかなりの熱だったからな。」
「どういうことだよ! まったく意味がわかんね〜よ。」
何か隠しているロイに少しカチンと来たエドは立ち上がろうとした。
だが、立った瞬間頭がくらっとし目の前がゆらんだ。
ロイはとっさに倒れそうなエドを抱きかかえた。
そのままベットに寝かせた。
「な……なんだよさっきから頭が…」
「まだ直っていないんだから安静にしていなければだめではないか!」
ロイはエドをおろすと腰に手を当てて、少しトーン高い声でエドに言いつけた。
エド顔はさっきより赤みが掛かってきていた。
「もう少し考えて行動をしたまえ、心配て命がもたん。」
エドはしぶしぶベットの中に入って言った。
「私はこれから仕事に戻る、君はちゃんとここで寝ているように。」
「抜け出すなどということをかんがえなよ。」
そういってロイは部屋を出て行った。
いきなり静かになった………
「なんか………昼間っから寝る気にもなれね〜な………」
エドはベットのうえに寝転がった。
《最近こんなんばっかだな………なんか…暇って言うか…何もないと落ち着かね………」
だんだんとうとうとしてきたのでエドはまぶたを閉じた。
《いつからだろう………こんなに何も考えなくなったのは……」
エドは深い眠りについた………
あのとき………自分たちの体を元に戻そうと旅だった日から、幾日もたち………
やっと俺たちは賢者の石を手に入れることができたのだった。
俺たちは早速セントラルに戻った。
「やっともとの体に戻れるんだね兄さん。」
アルは夢にまで見た賢者の石を手に入れたことでとても舞い上がっていた。
「ああ、明日にでもお前の体を元に戻してやるよ。」
「何言ってるだよ、兄さんを先に戻すんだから。」
アルは自分より俺のことを考える性格だ…
「何いってんだよ…お前の体を先に戻す、俺はそのあとで良いからさ。」
「でも……」
アルは困ったような顔で俺の顔を見ていた。
でもすぐにいつもと同じ顔に戻り……
「うん…絶対一緒に戻ろうね。」
「必ずな!」
俺は自分のこころに固く誓った。
自分に何が起ころうとアルだけは元に戻すのだと。
翌朝、俺たちは近くの廃工場に向かった。
その工場はいまは使われていなかったので、人の気配はなく俺たちは人体錬成の準備をした。
工場の床に錬成陣を書き、その中心に人の合成物質をおいた。
「やるぞ…アル」
「うん………」
錬成陣の中心近くにアルはたった。
エドは両手を合わせ石と一緒に錬成陣に両手をついた。
瞬間錬成反応が起こり、賢者の石は赤く輝き始めた。
光はアルと物質を包み始めた。
《成功だ……》
錬成は成功したとエドは思った……だが…
突然賢者の石が暴走をし始めた。
《な………なんだ……》
「アル!!」
「兄さん」
光は二人もを飲み込んでいった。
一度エドの意識はそこでとぎれた
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