永遠ってあると思う?
限りない世界はあると思う?
誰もが幸せを望み…誰もが存在を求める
だけど……僕たちは一人で生きているんだ
限りない幸せを探しながら
いつだって…歩き続けている
---『記憶』---
気づくとエドは白いベットのうえに寝かされていた。
周りを見渡しても真っ暗で、ここがどこなのか分からなかった。
まだはっきりしない意識を懸命に思い出そうとした。
「そうだ、アル…アル!」
エドの問いに答える声はなかった。
手探りで、ベットから降りる。
ドテっ
おもいっきりベットから落ちてしまった。
「行って…何なんだよ…」
立ち上がろうとしたが、暗いせいうまく立ち上がれずにいた。
何度か立ち上がりこけるの繰り返しだった。
何とか壁に寄りかかることができた。
そこでやっと一息つくことができた。
壁伝いに歩こうと思った…そのときドアの開く音とともに人の声が耳に入ってきた。
だがその声には聞き覚えがあった。
「何をやっているんだね、おとなしくしていたまえ。」
「この声…大佐か?」
「私以外に誰がいるんだね、それよりそこで何をしているのだ?」
「別に、真っ暗だから手探りで歩こうとしたらこけただ……うわ…何すんだよ、離せ!」
「そのようでは動くことができないみたいだな。」
エドはロイかつがれてベットの上まで戻された。
「サンキュ…暗くてよく見えないから助かったよ。」
エドは本当の真実を知らなかった。
「大佐凄いな…暗闇の中歩けるんだな、やっぱそれって…」
「鋼の!!」
いきなりロイはエドを強く呼んだ。
そういってロイはエドの両肩に手を置いた。
「鋼の今から言うことはすべて本当だ。」
エドはいようなロイの威圧に手足がピリピリした。
ロイの声はいつもより低く、少し重い感じがしたからだ。
「アルフォンス君のことだが…」
「…そうだ大佐アル…アルどうなってんだよ!」
エドは今にも大佐につかみかかりそうな勢いだった。
ロイはエドの耳元でささやいた。
そのときエドの中で何かが崩れた…
「な……何冗談言ってんだよ…アルが…アルが死ぬなんてあるわけが…」
「落ち着きたまえ、それと君にもう一つ伝えることがある。」
ロイは今にでも自分を振り払ってでも弟を探しに行きそうなエドを必死で抑えていた。
「本当は…私も聞いたとき自分の耳を疑ってしまった。」
「何だよ…早く言えよ。」
「君の目は……君の目はもう光を移すことができなくなった。」
「………えっ…」
いきなり二つのものを奪われた…エドにはもう絶望の二文字しかなかった。
そのあとエドは誰とも心を開かず口も訊かなくなってしまった。
中尉達がお見舞いに来てもエドは皆の方を見るが一言もしゃべることはなかった。
エドには、生きる威力が見られたなった。
毎日窓の外を見ている…
アルを失ったことがエドにとっては、死異常につらいことだった。
もう彼には生きるすべなどどこにもない…誰もがそう思った。
だが…一人だけあきらめずにエドに話しかけ…生きる希望を与えていた人が居た。
ロイは前のような元気なエドの姿が見たかった。
仕事中暇を見つけては抜け出しエドに会いにきていた。
次第にエドの心が和らいでいった。
以前は口も利かなかったのだが、ロイがくるようになり少しずつ会話をするようになっていった。
表情にも変化が現れてきた。
笑ったり・怒ったり、以前のようなエドに戻ってきていた。
心の気は晴れたわけではないが…それ以上に温かい気持ちが自分を癒している。
ロイとの会話がエドにそう思わせていた。
そしてロイはエドにことを告げた。
『私の家にくる気はないか?』
はじめエドは冗談だと思っていたが。
ロイの口調はいつもとは違った。
やさしい…でも少し強い意志のある気持ちが伝わってくる。
その気持ちを感じたエドは。
『オレ…もう大丈夫…大佐のおかげで…オレは立ち直ることができた。』
『でも…やっぱり……大佐が居なかったら…オレ一生このままだった…だから』
『オレ…あんたとずっと…一緒にいたい…』
何もかも失った…だが…新しく増えたものがあった。
気持ちという…大切な宝物……
それはけして…失われることのない…
それでも……悲劇は起こりうるのだった。
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