思い出の欠片
あれから一年たった…アルがいない生活にもだんだんなれてきた。
俺は軍を辞めリゼンブールにもどってきた。
いつもどうりっていうかあんまりかわりばえはないみたいだ。
今は錬金術を使う仕事をしている。
あの日のことは今でもはっきり覚えている。
まぁなにはともあれ、今は元気暮らしてるよ。
「エド屋根の修理お願いね。」
「自分でやれよ!」
「誰が、部屋貸してあげてると思ってるのよ!」
「言うこと聴かなかったらまたスパナだからね!」
家が無いからウィンリィの家に住んでるんだけど、(人のことこき使いすぎだっつの。)
「たっくかわいくねぇ…」ボソっ
「なんか言った!」
<ウィンリィスパナを光らせる>
[ひぃ…な…何でもねえよ…]
たっく超地獄耳だぜどっかの誰かさんそっくりだぜ。
「いい、ちゃんと屋根の修理しといてよね!」
<そういいいえにもどってく。>
「へいへいやればいいんだろう」
<エドはぶつくさ言いながら屋根の上に上って>
「面度くせさっさとおわらせよう」
パッ
バシッ
<エドはしぶしぶ屋根を直していった>
<賢者の石と同等となったので、手で陣を作らなくても練成ができるようになったのだ>
「はぁ〜終わった々〜」
なんだかこう高いとこから見ても何にもねえな。
「……」
<エドは屋根の上から飛び降りた>
<家えと入っていった>
「ウィンリィ修理終わったぜ。」
「あうん、その辺で座ってて今お茶入れるから。」
はぁ〜ほんとにウィンリィって俺のことなんでこき使うんだよ…。
「はい」
「んっ…あ…さんきゅ」
<しばし沈黙>
<先にウィンリィが口を開いた>
「ねぇエドこれからずっとここにいるんだよね」
<なんだか少し寂しげな口調だった>
「んっ…まあな…賢者の石のことももう探さなくていいし…。」
「それがどうかしたのか?」
<一瞬ウィンリィの顔が笑った気がした…>
「別に、どっかの誰かさんがまた旅に出て機械鎧壊されちゃたまんないもん。」
「な…うるせー」
ほんとにかわいくないよな、もう少し…。
「そうだ!あたしばっちゃんに買い物頼まれてたんだった!」
<ウィンリィはあわてている様子なので、机に足をぶつけてしまった>
「いった〜」
「まったく、しょうがねえな。」
ほんとウィンリィておっちょこちょいだよな。
「いたた〜指ぶつけた〜」
「ほら、手貸してやっからさっさと立てよ。」
<エドはそういって手を差し出した>
「うるさいわね、少しは心配しなさいよ!」
<文句言ってるわりにはすんなり、手を貸してもらっているの>
「エドちょっとの間留守番しててもらえる?」
「んぁ…いいけど、何の買い物行くんだ?」
「秘密!帰ってきてから教えてあげる」
こういう顔のときこそろくなこと無かったよな〜ま〜た何かやらかしそうだな…。
「さてと、それじゃ行ってくるね。留守番しっかりやりなさいよ!」
「子ども扱いするな!!」
同じ年のくせに人を子供扱いしやがって…。
「はいはい、じゃ行ってきます〜」
「ん…おぅ…」
バタン
何か、一人になると最近よくアルのこと思い出すよな。
俺がもっと考えてればアルは…アルは……。
『…さん……兄さん…!』
『アルーーー!!』
アルの体がどんどん賢者の石に飲み込まれていく…俺はただ見てるだけしかできなかった…。
俺のせいでアルは…。
「…ド……エド…」
「…アル…ごめん……ごめん…」
「エド!」
がばっ
<いつの間にかウィンリィが帰ってきていた>
「ウィンリィ…」
「大丈夫?エド」
「あ…うん、大丈夫だよ…帰ってきてたんだ…。」
なんだか久しぶりに見た夢だな…。
<ウィンリィが心配そうにエドの顔を覗き込んでる>
「エドずっとアルにあやまってたよ…」
「…アルが、ああなっちまったのは全部俺のせいだからな…アル俺のこと恨んでるかもな。」
「そ…そんなこと無いよ…そんなこと」
<ウィンリーの顔は今にも泣き出しそうだった>
「アルが…アルがエドを恨んでるはず無いよ!!」
「だって…エドは…アルの…」
<ウィンリィ瞳から一滴の涙が零れ落ちた>
「エドは……エドは!」
「ウィンリー!」
(………)
「もういいよ…さんきゅな…」
<そういってエドは外に出て行った…行き先はたぶんあそこだろう>
(エド…エド……)
<案の定エドはここにきてた>
「アル…ごめんな…お前のこと助けることができなくて…。」
「俺…お前につらい思いさせてばかりだったな……ごめんな…アル。」
<その場所は…アルの…今はもういないアルの…お墓だった>
<エドはアルのことを考えるとよくここにきていたのだった>
「そろそろ帰るか…ウィンリィも心配してるだろうし…」
「…今日の晩飯なにかな」
<この後、思いもよらぬ来客が家にきていたのだった>
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