戦場の傷
<目の前には爆発で原型をとどめていない家が沢山並んでいた>
<エドはその中で呆然と立っていた>
<遠くのほうからは、爆発の音だけが聞こえてきた>
「これが…なんでこんなこと…」
<近くで爆発と一緒に炎が上がった>
「うわ…」
「何をしている鋼の!」
「大佐…」
「早く目的地点へ行きたまえ!」
「そんなことあんたに言われなくてもわかってるよ。」
<エドは愚痴をこぼすと、自分の担当地点に向かって走り出した>
何でたった一人のやつを捕まえるためだけに、こんな状態までしなきゃなんねんだよ。
<走りながらもこのことだけが頭から離れなかった>
「ここだ…」
<そこは、何かの建物の中だった>
その錬金術師はここにいるのか…
<建物を見回しても人の気配さえしなかった>
ほんとにここにいるのか?
「お…お前…軍の人間か…」
<後にはいつの間にか男が一人立っていた>
げ…気づかなかった。
「さ…さっさと…こ…この村から…出てけ…」
「あいにくだけど、こっちもいろいろ事情があるんでね」
「単刀直入に言う、あんた達の主催者を出しな、そうしたら軍も俺もこの村から引き上げる。」
「う…うるさい…あの方は我々の村を救ってくださった方だ。」
<男は一向に、返事を変えなかった>
「さっさと村から出でいけ、さもないと打つぞ!」
結局力ずくかよ…俺ってやっぱ呪われてんのかな〜
「しょうがねぇな…」
バジっ←大きく
<エドは自分の機械鎧を剣に変えた>
「お…お前国家錬金術しか…」
「今はな…痛い目見たくないならさっさと錬金術師を出しな!」
「く…くそ…」
<男はそうはき捨てると、そそくさと逃げ出していった>
「あ…待て……逃がすかよ」
<エドが地面に手をつくと石造りの地面が崩れた>
<男は崩れた石につまずいた>
「さあ、錬金術師の居場所はどこだ。」
<男に近づいていった…そのときひとつの銃弾がエドめがけて飛んできた>
「やべ…」
<エドはとっさに壁を練成させた>
<…沢山の銃声響いた>
<難なく交わしたが、一つの銃弾を腕に食らってしまった>
「……っ…」
「なかなかすばしっこいですね」
「…お前が主導者か…」
<声がしたほうを振り向くとそこには一人の男が立っていた>
「正解だ、だが君にはここで死んでもらうよ、本当はこんなおちびちゃんを殺したくは無かったんだけどね。」
「だれが、ウルトラハイパーどちびかーー!!」
「さてお遊びはここまでにしてもらおうか。」
<男がそういうと、そこらへんの岩陰から沢山の男達が出てきた>
くそ…今日はこんなんばっかだぜ。
「それでは死んでもらいましょうか、小さな錬金術師さん。」
<銃口がエドに向けられた、がそのとき…>
<もの凄いほどの炎が上がった>
「苦戦してるな鋼の。」
「大佐…なんでここに…」
<炎と共に現れたのはロイだった>
「こちらのほうからものすごいほどの銃声がしたもんでね、まぁ駆けつけてみたら君が沢山の群集に囲まれてたわけだ。」
「間に合ってよったわエドワード君。」
<中尉も遅れて駆けつけてきた>
「こいつが主導者か。」
<男達はロイたちが来たたことで一斉に逃げていっていた。残っていたのはこの男だけだった。>
「くそ…」
「もう逃げ道は無い、大人しく捕まりたまえ。」
<中尉は男に銃口を向ける>
「けっ…誰が捕まってたまるか。」
<そういうと男は手に持ていたスイッチを押した>
<その瞬間、周りに設置してあった爆弾が爆発しエドたちに襲いかかって来た。>
「やべ…」
<エドはとっさ強力な練成をしてしまった>
<エドの行った練成は成功したが…>
「こ…これはいったい…。」
<ロイは目の前で行われている光景に唖然としていた。>
<暴走した練成は、周りのものすべてを破壊していった>
くっそ…押さえ切れね…
<エドは暴走を食い止めようとしたが、あまりにも力が強く食い止めることができなかった>
<暴走した力はロイ達までも襲おうとしていた。>
「…落ち着け鋼の!」
<暴走しきった力はやむことは無かった。>
「……大佐…俺を打て。」
<エドは必死にそれだけを叫んだ>
「…しかし…」
「このままじゃ…大佐たちまで巻き込むことになる…だから。」
「だけど、それじゃエドワード君が。」
「どの道、このままにしてたら、大佐たちもばらばらになっちまう…だから俺を打ってくれ…」
「…………」
…っ……もうもたねぇ
「仕方ない…覚悟はできているか。」
「……いつでも来い…」
<ロイは発火不をエドに向けた…>
「やめて!!」
<みんながいっせいに振り向くとそこには…>
「…ウィンリィ……なんでここに…」
「エド…」
<ウィンリィはエドに近づいていった>
「バカ…来るな…お前までまきぞいになる。」
<だが、ウィンリィの足はとまることが無かった>
「止まれ…死ぬかもしれないんだぞ!!」
「……」
<ウィンリィは練成反応で吹き飛ばされそうになりながらも、エドの方へ足を進めた>
「ウィンリィ・ロックベル危ないから戻りたまえ!」
<だが、ウィンリィの耳にはロイの声は届いていなかった>
<目の前にある目標だけを目指して…ひたすら歩くだけだった>
<何度も傷つきながらウィンリィはエドの近づいてきた>
「……ウィンリィ…逃げろ本とにやばいから……」
<エドは失いそうになる意識をこらえていた>
<ウィンリィはひざを突いて座った>
「…こんなに……なるまで…なんでいつも一人で抱え込むの…。」
<ウィンリィは、そっとエドを自分のほうに引き寄せ…>
「エド聞いて…私ね…今まで………」
<その瞬間エドの中の何かが崩れるような感じがした…それと同時に暴走していた練成反応が治まっていった…>
<エドはそのまま気絶してしまった…>
「エド…」
<騒ぎは納まり、死傷者も数名ですんだ…>
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